YouTubeでたまたま見つけたNHKスペシャルで、フェルマーの最終定理の番組をやっていた。
アンドリュー・ワイズ氏は7年かかって、300年以上も天才数学者たちが立ち向かっても歯が立たなかった定理を証明したというのです。
xn + yn = zn (nの部分はべき乗です) n=2はご存じピタゴラスの定理ですが、2以外の整数でこれを満たす数字は無いという、ことを証明するわけですが、これに一生をかけて取り組むというのはすごいことですね。300余年の間に、一生をかけて、取り組んで、証明できなかった数学者がたくさんいるわけで、人生すべてかけて、徒労に終わるというのは他の人から見れば、なんで?と思うわけですが、それだけ情熱をかけ続けることができるというのがすごい。
紙と鉛筆だけで、業績をあげることができる、これはすごいことです。
また、この定理を証明する、基本的な考え方は日本人、谷村、志村、両氏が考えた理論が元になっていたというのもすごい。
敗戦後、何も無い日本で、紙と鉛筆があれば、世界をあっと言わせる研究ができる数学と、原子物理の世界で著名な日本人研究者が出たのは、偶然ではないでしょう。なんら一次資源の無い日本がここまでの経済大国になったのは、紙と鉛筆で頑張ったからです。日本人の頑張る能力というのはすごいなあと思う、今日、このごろです。
今の世の中ではコンピュータソフトが似てますよね。たとえパソコンが無くても、紙と鉛筆があれば、画期的なソフトは作れますからね。半導体設計もそうすね。回路設計は頭の中だけでできるので、紙と鉛筆があればOKです。
思い起こせば、大学を出たばかりで、機械の設計を始めたとき、当時は紙に鉛筆で図面を書き、頭の中で考えた機構を紙に表記する。それを試作工場に出すと、なんと、動く機械が出来てくるのを目の当たりにしたとき、あのショックはわすれられません。紙と鉛筆で考えた機械が、一台200万円もする機械が出来てくるんですよ。紙と鉛筆の代金はおそらく2000円以下、それが一台200万円!2000倍の付加価値がついたことになります。機械は何千台も生産しますから、5000台としても、10000000倍の付加価値!これが、日本が経済大国になった理由なのでしょうか。結局、人間の頭脳が付加価値を生む。
しかし、これらの優秀な学者が出たのも実は戦前の教育を受けていたからなのかもしれません。ソフトも、半導体設計もアメリカなどに負けているような気がします。戦後教育ははたして、そのような画期的な発想、業績を残す野心家的教育が出来ていたのかと、少し心配になります。
がんばれ日本の科学者!
2011年1月23日日曜日
2011年1月15日土曜日
労働生産性と日本の企業社会
日本の労働生産性は低いと言われて久しいですが、生産性=効率と考えると大きな間違いと、藻谷さんが言われています。労働生産性は労働者一人が生み出した付加価値ですから、確かに一人の人が効率良く仕事ができるようになれば、生産性は上がるような気がします。
しかし、今の日本で起きていることは、付加価値の絶対額が下がっているということのほうが問題のようです。
例えば、昔は電子レンジは当時の価格でも10万円くらいしました。今では当時の機能なら1万円以下で買えます。全体の付加価値が大きく下がってきているわけです。当時の10万円は今の仮に30万円(給与が3倍になっているとして)とすると、付加価値は1/30に下がっていることになります。このような状態で、生産効率を30倍にしても、やっと当時と同じということになります。製造原価を考えると、効率を40倍くらいにしないと無理ですね。40倍にしようとすると、それにかかわる工場労働者も増えるはずですから、実は一人当たりの生産効率はそんなに上がらないはずです。日本人の効率は上がっているかもしれませんが、海外工場で労力が増えているはずです。
多くの日本企業は少ない人数で生産効率を上げて、良いものを安く作れば儲かると思って、ほとんど宗教のようにこれに注力してきました。例えば三洋電機は一生懸命白モノ家電を作り、売上は膨大な金額となっても、営業利益はほんのチョット。実は赤字という状態を続けていたのだと思います。(三洋電機関係者の方ごめんなさい。ただ、典型的な例だと思うので勘弁してください。)
本当は電子レンジの生産は発売後10年くらいで止めて、別の事業に移らなければならないところを止められなかったのだと思います。たぶん、真相は止める気もなかったのかもしれません。でも、ほとんど全部の日本企業がそうでした。
本来、労働生産性を上げるためには、付加価値を最大限に増やすことが重要で、そこが多くの日本企業では出来ていなかったのではと思います。
シャープのヘルシオとか、高く売れているじゃないかと、お叱りもあるかと思いますが、電子レンジが出たころ、サラリーマンの給与と同じかもっと高い値で売れていました。そう考えると、ヘルシオでもたかだか、給料の1/3くらいでしかないことを考えると、もっと付加価値の高い事業に同じエンジニアの能力を振り分けるべきだったのではと思います。
これが、エンジニアの浪費です。
とは、言っても、付加価値をそれだけとれる事業を見つけるのは大変です。そのための技術開発も膨大な投資がかかるかもしれません。能力の足らないエンジニアは退職してもらわなければならないかもしれません。
アメリカのエンジニアは良く勉強します。私も夜、カリフォルニア大学の技術講座に通っていましたが、たくさんのエンジニアが仕事が終わったあと、勉強していました。日本の場合は、エンジニアは毎日残業でヘトヘトで、勉強する気力も機会もありませんでした。これでは、電子レンジや炊飯器しか作れないエンジニアが増産されてもおかしくありません。これは不幸なことです。
(念のため、ヘルシアを開発したエンジニアはすごいですよ。尊敬します。でも、もっと付加価値の高いフィールドを与えてあげられなかったのでしょうか。。。。経営者の怠慢です。)
現在の日本の技術立国の凋落は企業がエンジニアを再生していなかったことと、その事業分野で付加価値の大幅低下が起こっているにも関わらず、生産効率向上にばかり邁進していた結果だと思います。
付加価値を上げるにはどうするべきか。日本の技術蓄積があればできます。
みんな、元気を出して頑張りましょう。
しかし、今の日本で起きていることは、付加価値の絶対額が下がっているということのほうが問題のようです。
例えば、昔は電子レンジは当時の価格でも10万円くらいしました。今では当時の機能なら1万円以下で買えます。全体の付加価値が大きく下がってきているわけです。当時の10万円は今の仮に30万円(給与が3倍になっているとして)とすると、付加価値は1/30に下がっていることになります。このような状態で、生産効率を30倍にしても、やっと当時と同じということになります。製造原価を考えると、効率を40倍くらいにしないと無理ですね。40倍にしようとすると、それにかかわる工場労働者も増えるはずですから、実は一人当たりの生産効率はそんなに上がらないはずです。日本人の効率は上がっているかもしれませんが、海外工場で労力が増えているはずです。
多くの日本企業は少ない人数で生産効率を上げて、良いものを安く作れば儲かると思って、ほとんど宗教のようにこれに注力してきました。例えば三洋電機は一生懸命白モノ家電を作り、売上は膨大な金額となっても、営業利益はほんのチョット。実は赤字という状態を続けていたのだと思います。(三洋電機関係者の方ごめんなさい。ただ、典型的な例だと思うので勘弁してください。)
本当は電子レンジの生産は発売後10年くらいで止めて、別の事業に移らなければならないところを止められなかったのだと思います。たぶん、真相は止める気もなかったのかもしれません。でも、ほとんど全部の日本企業がそうでした。
本来、労働生産性を上げるためには、付加価値を最大限に増やすことが重要で、そこが多くの日本企業では出来ていなかったのではと思います。
シャープのヘルシオとか、高く売れているじゃないかと、お叱りもあるかと思いますが、電子レンジが出たころ、サラリーマンの給与と同じかもっと高い値で売れていました。そう考えると、ヘルシオでもたかだか、給料の1/3くらいでしかないことを考えると、もっと付加価値の高い事業に同じエンジニアの能力を振り分けるべきだったのではと思います。
これが、エンジニアの浪費です。
とは、言っても、付加価値をそれだけとれる事業を見つけるのは大変です。そのための技術開発も膨大な投資がかかるかもしれません。能力の足らないエンジニアは退職してもらわなければならないかもしれません。
アメリカのエンジニアは良く勉強します。私も夜、カリフォルニア大学の技術講座に通っていましたが、たくさんのエンジニアが仕事が終わったあと、勉強していました。日本の場合は、エンジニアは毎日残業でヘトヘトで、勉強する気力も機会もありませんでした。これでは、電子レンジや炊飯器しか作れないエンジニアが増産されてもおかしくありません。これは不幸なことです。
(念のため、ヘルシアを開発したエンジニアはすごいですよ。尊敬します。でも、もっと付加価値の高いフィールドを与えてあげられなかったのでしょうか。。。。経営者の怠慢です。)
現在の日本の技術立国の凋落は企業がエンジニアを再生していなかったことと、その事業分野で付加価値の大幅低下が起こっているにも関わらず、生産効率向上にばかり邁進していた結果だと思います。
付加価値を上げるにはどうするべきか。日本の技術蓄積があればできます。
みんな、元気を出して頑張りましょう。
MPS vs MSP?
事務機業界ではMPS,MPSと騒がれて久しいですが、アメリカではMPSはMSP "Managed Service Provider"が提供するITサービスの一部に含まれると解釈されています。中小企業にも、MSPは有効な手段として考えられていることを考えると、MPSもMSPの一手法として、中小企業に適用できるのかもしれません。
2011年1月3日月曜日
謹賀新年
新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
早いもので、今年は平成23年ですね。
私はちょうど、平成に変わったときはカナダに在住していたため、どうも、いまだに昭和と平成のつながり部分の昭和と、平成と西暦がなかなかピンときません。しかし、あれからすでに23年も経つのだと思うと、われながら、びっくりします。
また、会社を設立して、すでに5年目に入り、時の流れる速さにはわれながら驚きます。
思い起こすと、あの時こうしておけば良かったのではとか、ああするべきではなかったとか、いろいろ考えます。
先日面白い話をラジオで聞きました。
木々というのは台風や落雷で枝や幹が折れても、その折れたことはすぐに封印して、次にどの枝を伸ばそうかと考えるように、どんどん、自分の体で大丈夫な部分を伸ばしていくようなります。
そういう考えを身体障害者の子供たちに見せ、実際に大木にツリークライミングの手法を使って登らせてみる。木の上部から眺めた景色を体験させて、昔のことや、今、体が不自由なことはそれはそれと受け止めさせ、自由になる部分を伸ばす。そういうポジティブな発想に変えていく。がんばれは、大木にも登れるということを体感させることにより、未来への希望を抱かせる。自分の無限の可能性に気が付いてもらう、そういう取組をしているカナダ人が居ます。
今の自分の立ち位置を是として、未来のみを見つめて考える。そうやっていくことにより、道が開けるのだと思います。
いくら考えてもやり直しのきかない過去のことを考えていても、時間の無駄ですよね。
過去を反省して、未来に生かすということも重要ですが、そればかりやっていても時間の無駄。
今できることは何か、自分の得意なことは何か、とにかくアクションをとってみて、だめならやり方をかえて、また、がんばる。人生この繰り返しなんだと思います。
特に、就職難で落ち込んでいる学生たちにも、道は一つではない、答は無限にある。あるのは自分にとって、ベターと思える選択枝をとっていく、その中でゴールを定めていく。また、選択枝を選ぶときの自分の基準。これを持っていること。これが重要なんだと思います。
本年も皆様、どうぞ、お体に気を付けてすこやかにお過ごしください。
2011年 正月
森川祐輔
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
早いもので、今年は平成23年ですね。
私はちょうど、平成に変わったときはカナダに在住していたため、どうも、いまだに昭和と平成のつながり部分の昭和と、平成と西暦がなかなかピンときません。しかし、あれからすでに23年も経つのだと思うと、われながら、びっくりします。
また、会社を設立して、すでに5年目に入り、時の流れる速さにはわれながら驚きます。
思い起こすと、あの時こうしておけば良かったのではとか、ああするべきではなかったとか、いろいろ考えます。
先日面白い話をラジオで聞きました。
木々というのは台風や落雷で枝や幹が折れても、その折れたことはすぐに封印して、次にどの枝を伸ばそうかと考えるように、どんどん、自分の体で大丈夫な部分を伸ばしていくようなります。
そういう考えを身体障害者の子供たちに見せ、実際に大木にツリークライミングの手法を使って登らせてみる。木の上部から眺めた景色を体験させて、昔のことや、今、体が不自由なことはそれはそれと受け止めさせ、自由になる部分を伸ばす。そういうポジティブな発想に変えていく。がんばれは、大木にも登れるということを体感させることにより、未来への希望を抱かせる。自分の無限の可能性に気が付いてもらう、そういう取組をしているカナダ人が居ます。
今の自分の立ち位置を是として、未来のみを見つめて考える。そうやっていくことにより、道が開けるのだと思います。
いくら考えてもやり直しのきかない過去のことを考えていても、時間の無駄ですよね。
過去を反省して、未来に生かすということも重要ですが、そればかりやっていても時間の無駄。
今できることは何か、自分の得意なことは何か、とにかくアクションをとってみて、だめならやり方をかえて、また、がんばる。人生この繰り返しなんだと思います。
特に、就職難で落ち込んでいる学生たちにも、道は一つではない、答は無限にある。あるのは自分にとって、ベターと思える選択枝をとっていく、その中でゴールを定めていく。また、選択枝を選ぶときの自分の基準。これを持っていること。これが重要なんだと思います。
本年も皆様、どうぞ、お体に気を付けてすこやかにお過ごしください。
2011年 正月
森川祐輔
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日本的経営,技術立国,
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