最近、日本の技術に諸外国が簡単にキャッチアップしてきている。退職した技術者が韓国、中国メーカーに再就職し、そこから技術情報が漏れるということによるらしい。
そもそも、採用した会社がその人の技術力を利用しようとするとすることは、たとえばシリコンバレーでは当たり前であるし、それを防ぐことは非常に難しい。
そもそも、転職しようとする人にはそれ相応の理由があるし、まして定年した技術者にとっては、新たな活躍の場を用意してくれるというのは魅力的だ。
自分たちの勝手で年齢が60になったからという理由だけでやめさせたことを棚上げにして、わが社の重要な技術を流したと技術者を目の仇にするだけでよいのだろうか。
ましてや、抑制効果を狙って、告訴下などというのは本末転倒である。
まず、秘密、門外不出の秘伝情報というのなら、そういう情報管理が必要である。
重要情報を重要なものとして扱っていない、管理していなくて、わが社の大切な情報が漏れたと大騒ぎをする。当然、技術者の頭に入っている情報が重要なのなら、その情報が入っている箱である従業員を大切に扱わなければならないはずである。
60を超えたから嘱託社員で月給15万円です。
技術者は工場労働者との兼ね合いがあり、初任給は18万円です。どんなにがんばった技術者も35歳なら年収600万円が上限です。ではあまりにも引きとめの誘引にはならない。
競争の源泉となる知識労働者を社内に引き止めておくことこそ、もっともメーカーにとって重要な戦略の一つなのではないのか。
技術者は給料のためだけに働いているのではない。自分の開発した技術が製品になり、世の中に無い新しい価値を生み出すことに価値を置いている人は多い。
アメリカでもそうだった。あたらしい技術にチャレンジできるということが非常に重要な誘引になっていた。
私が最初の会社を辞めたときも同じだった。新しい技術をアメリカで開発するために5年間、アメリカで必死にがんばったプロジェクトを本気で継続する気が経営陣にないことがわかったらである。
ちょうどその時、活躍の場を与えられればそれを断るのは難しいことは経験しなくてもわかると思う。
技術者の扱いには戦略が必要である。いままでそれを終身雇用をたてに、無視し続けていたメーカーのつけは回ってきただけと見るのは私だけだろうか。
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